動物のQOLと最善の医療

「最大限」と「最善」の医療は異なる

動物医療は年々高度化し、今までは施しようのなかった症例にも治療ができるケースが増えてきています。できる限りのことは全て行いたいという場合の選択肢が増えることは歓迎すべきことですが、「最大限の治療」が「最善の獣医療」とは限らないと当院では考えています。

これは「最大限の治療」をやってはいけないということではありません。根治できるものは実施すべきです。しかしながら、特に悪性腫瘍の動物たちは、数か月も病院通いをさせて、その数か月分だけ延命できたというケースが少なくありません。動物にとってがん告知されること自体は精神的ダメージを受けませんし、告知の恐怖はありません。しかしがんによって手術を受け、抗がん剤、放射線治療等で病院通いをすることは動物にとって多くのストレスやダメージを受けます。そしてその辛い治療やストレスを受ける期間と同じだけの期間の延命ではあまりにもかわいそうですし意味がないと当院では考えます。

実績に基づいた信頼できる二次病院をご紹介

もちろん選択肢の一つとして、現在の獣医学でできることは説明いたします。飼い主様の希望がある場合には、藤井院長のこれまでの獣医界での学会発表経験や複数の学会・獣医師団体の理事などの職の経験、また、個人的ではありますが臨床での実学の経験から、信頼できる大学病院や二次診療センター、あるいはその分野の経験が豊富な名医をご紹介します。

最近では沢山の診療科目からの認定医ができてきています。勉強してテストにパスしてはいますが、それは学問であって実学ではありません。実績や技術、学会発表、投稿論文等があってこそ、信頼できる先生、施設であると言えます。そういった施設を当院では紹介させていただいています。

動物のQOLに対する「最善」

飼い主様は多くの病院のウェブサイトをご覧になって、勉強されている方が多いですが、良いことを書いている病院が良い獣医療を提供している施設とは限らないことも事実です。

現在の二次診療施設や1.5次診療をうたう施設の問題点は、教科書的な高額の獣医療を実施し、それが決して動物のQOLの改善になっていないことがあるからです。

教科書的には確かに沢山の検査と辛い治療を実施することが書いてありますが、高額検査を何度実施しても病気を治すことにはならないことも多いですし、食欲のない子に沢山の薬を処方されても飲むことはできません。これでは動物たちが最期を迎えるときには苦痛との戦いになってしまいます。

私は、これまですべての動物に本気で向き合うことに努力をしてきました。もちろん失敗の経験もあります。しかしそれらを糧として高度医療なども含め当院では設備を充実させて正しく診断をして、正しく治療をしていける様に毎日進化し続けています。そして我々の愛すべき動物たちがより楽しく、快適に生活して生涯を生きていけるかに重きを置いて飼い主様と話をしてその子に合ったその子のための治療を実施しています。