歯科&口腔外科
歯科&口腔外科の新着情報
このような症状はありませんか?
- 口が匂う
- 歯石がたまっている
- 歯がぐらぐらしている
- 歯茎(歯肉)が衰えている
当院でもたくさんの犬の歯石取り、歯周病の治療、歯槽膿漏の治療をしています。状態の悪い子ほど、治療後に驚くほど元気になることがよくわかります。ボールなどで遊ぶようになり、食欲も処置前以上にあがります。飼い主様もその違いに気づかれる方が多いです。歯の健康は、犬の生活の質(QOL)の向上と健康管理にとても大切だということがわかります。
歯科&口腔外科のご案内
歯は歯槽膿漏になると、心臓や腎臓に害を及ぼすと言われています。通常診察で歯の状況はできるだけチェックする様にしていますが、口臭が気になる場合や、食事の時に痛がるような事がありましたら、早めの診察が必要です。デンタルのレントゲン及びCT画像検査によって、全ての歯の状態を把握して、確実な歯の治療を行います。歯の状態は寿命に影響を与えますので、常に綺麗に保つ事が大切です。
寿命長くなっているからこそ歯の健康が重要
お口のお手入れ次第で、寿命を15〜30%伸ばせると言われています。歯周病にかかるということは、毎日雑菌を口から飲みこみ、顎の骨に感染を起こしている状態です。それがいろいろ悪さをします。ただ歯石を取って、きれいにするだけでは変わりません。完全に安全に、正しい治療をして処置をすることが大切です。
犬は歯をきれいに保つことで、寿命が平均2年以上延びるというデータがあります。これは人でも同様ですが、歯周病、歯槽膿漏になって口の中に悪い菌がはびこると、顎の骨を溶かし、血液の中に菌が入り込んで、心臓、腎臓などの臓器にトラブルを起こすことがあります。骨が溶けてしまうまで感染している状態は、他の病気では通常考えられないことです。これは犬にとって、とても痛くて辛い病気なのです。
最低4名体制での施術と麻酔にこだわる理由
口腔外科は歯科処置をする人、助手、麻酔医、外回りの看護師と最低4名体制で行っています。手術可能な部屋が3部屋あり、人工呼吸器付きの麻酔器が4台稼働しており、歯科処置専用の手術室の麻酔器とモニターは最もハイスペックのものを使っています。これは通常人間の大学病院の一般外科に使用されているモデルと同等です。
これほどまでに歯の施術にも万全を期すのは、歯科処置の際には必ず全身麻酔をかける必要があるからです。
歯科処置をする動物は高年齢が多いこと、骨に直接触ることがある手術なので、麻酔深度(麻酔の深さ)が動物に苦痛を与えることが無いように最大限注意を払っています。
整形外科、開胸手術など痛みを伴う手術や肝臓、胆のうなどのリスクを伴う手術を毎年何百とこなしてきている当院ならではの麻酔技術を駆使して、もう麻酔は無理といわれた症例に対しても、QOL向上のために歯科処置をすることがあります。20歳を超えた犬も、歯科処置後から「ボール遊びをするようになった」と喜ばれたこともあります。
CT断層撮影などでの画像診断も実施
歯はきれいに磨かれているのですが、しっかりと検査をしていないばかりに、歯に対して適切な処置ができていない症例も多くあります。もちろん無麻酔処置は問題外でお勧めできませんが、通常の麻酔下での歯科処置であっても同様です。当院ではCT断層撮影などの画像診断をしっかりと行い、歯科処置をすることも多いです。特にセカンドオピニオンで来院された方には、この検査は本当に悪い歯を把握できるので大変好評です。
口腔外科
歯科処置と同様に口腔外科も行っています。歯が悪い子は歯肉にしこりができることが多いです。良性の過形成と言われるものから悪性腫瘍まで、しっかりと診断治療をしないと結果として無意味な歯科処置になることもあります。したがって当院では、すべてのことに万全の体制で備えるために、相応の機器を揃えて対処しています。(もちろん腫瘍などの時には顎の骨を切る処置なども行います。)動物の場合は口を容易に開けてくれませんので、手術中でも処置が変わることがあります。セカンドオピニオンで来院した症例では外科手術に移行することも少なくありません。
口腔外科手術のおおまかな1日の流れ
症例によって多少異なりますが一日の流れを紹介します。
歯科処置の予約日当日に、すべての処置をします。動物の苦痛を取ることと、検査の回数を減らすというメリットがあるためです。なお、当院では歯周病、歯槽膿漏、歯肉炎、歯石処置、破折歯、そして口腔内の腫瘍に対しても同様の手順を踏んで、どんなシチュエーションでも対応できるように準備しています。
- 予約日は、朝食を抜いた状態で午前中の診療に来院いただきます。
- お預かり後、最初に血管に留置針という針を設置して、全血検査、血液生化学検査、血液凝固系の検査(抜歯時に血液が止まるかどうかの検査)、胸部レントゲン、腹部超音波検査検査などを行います。
- 留置針を通した後は、朝食を抜いていますので、点滴開始により脱水状態の改善を行います。手術前に脱水を改善していないと、腎不全などの合併症が起こってしまう可能性があるからです。
- 検査結果で異常が出た場合は、飼い主様と連絡を取り、その先に進むかをリスクなどを説明した上で決定します。特に血液の凝固能力を測る検査は、抜歯などを考えているときには重要です。歯槽膿漏などの時は、血液が止まらなくなることが稀にあります。そういったことも考えて、万が一の時の場合に輸血(全血、成分輸血など)もできる体制を整えています。
- 検査で大きな問題がない場合は、脱水の改善があれば手術に進みます。麻酔前に鎮痛剤、抗生物質等の前投与を行います。
- 最初に入れた留置針から短時間の麻酔薬を注入して導入をし、顎の力がなくなったらすぐに気管に気管チューブを入れ吸入麻酔に切り替え、呼吸をコントロールして麻酔維持を行います。麻酔がしっかりかかり不動化したら、歯周病のひどい子はCT断層撮影をします。これで顎骨の吸収像が3D画像でわかりますし、鼻への浸潤は2D直行画像でよくわかります。撮影は1分以内には終了しますので、撮影後すぐに歯科処置に移ります。
- 歯科処置はまず超音波スケーラーと次亜塩素酸水を利用して、歯石の除去と消毒を行いながら実施します。
- 歯石除去が終わると、まず歯周ポケットの深いところは歯肉をカットして消毒し、CT検査で抜歯適用の歯があるときは抜歯をします。破折した歯など根っこの強いものは、抜歯専用の機械を使用して抜歯します。さらに抜歯した場所には薬を注入して解ける糸で縫合します。
- 残った歯は、コンパウンドという磨き用の研磨剤を数種類使って数回磨きます。
- 最後に喉頭部の異物や水分を丁寧に取り除き、麻酔を覚ましていきます。その際、顎の骨を削るなどの疼痛の強い症例では、麻薬系の鎮痛剤を使用して痛みを取り除きます。
- 麻酔を覚まして、気管に入れていたチューブを抜いたら、後は点滴し、腎臓などの保護をして、夕方の帰りの時間まで健康状態の確認をします。
- 抜歯した場所の出血や鼻に瘻管ができていた場合は、丁寧に処置をしないと取り返しのつかないことになります。なぜなら、動物は人と違って出血部位を手で抑えたり、鼻血を上向いて止めてくれたりしないからです。また短頭種(ブルドッグ、パグなど)では、手術後に鼻からカテーテルを通して、酸素の吸入の補助を設置します。
- 飼い主様が迎えに来る頃には、通常犬猫はほぼ普通の状態と変わりません。お家に帰ってその日はおとなしく過ごし、翌日からは問題がなければ通常通りの生活で大丈夫です。
実際の治療症例紹介
飼い主様へのメッセージ
当院は歯科、口腔外科に力を入れています。それはこのエリアだけが骨と接している部分であり、飼主さんが考えているより、はるかに体に悪い影響を与えるからです。そのため、歯科処置はもちろん口腔内腫瘍に対しても最大限の手術処置ができる様にCT検査、さらには形成外科など含めた処置を行っています。