猫の検診
2歳までの子にお勧めの検診
対象:若齢の2歳ぐらいまでの猫
この年齢で知っておかなければいけないのは、先天異常です。遺伝的なものや、未熟故に起こっているものなどがあります。検診により、より早く対処ができること、また、治療可能なもの、将来の症状を軽減できるものについては、早期に手が打つことができます。同時に、母猫から母子感染、特に寄生虫感染をしていることを早期にチェックして、駆虫や治療を始めます。
この検診を受診すると良い理由
生まれ持った異常、いわゆる先天性疾患を見つけ出す事ができます。
母子感染などによる、寄生虫感染、ウイルス感染の有無を知る事ができます。
検査項目
全身の身体検査、血液検査、猫白血病と猫エイズウイルス検査、尿検査、便検査、レントゲン検査、超音波検査
この検査でわかること
全身の身体検査
形態的な異常を見つけます。頭の先から尻尾の先まで、形態的異常を見つけます。眼の異常、心臓の異常、腹腔臓器の異常、おへそや鼠径部のヘルニア。そして、男の子なら、停留睾丸、猫では多くありませんが、膝蓋骨の脱臼などがわかります。
血液検査
貧血、肝機能、腎機能、その他の異常で病気の状況を見つけ出します。
猫白血病と猫エイズウイルス検査
この病気を持っていると、寿命が短くなります。早めに知る事で、より長く快適な生活をする事ができます。
尿検査
腎機能や膀胱の異常を見つけます。
便検査
寄生虫や特殊な細菌などを検出します。
レントゲン検査
先天的な心臓の異常、腹部臓器の異常などを見つける事ができます。
超音波検査
腹部臓器をさらに詳しく、形態的に異常がないかを見る事ができます。肝臓の大きさや形、腎臓の大きさや形等です。
飼い主様へのメッセージ
子猫では、多くの場合、母親から寄生虫をもらっていることが多いため、繰り返しの糞便検査が重要となります。また、猫白血病、猫エイズといった重篤な伝染病を保有していることもあり、若いうちに検診を受ける事で、今後の生活環境の注意点などをお話できるケースが多くあります。また、ペルシャ猫などでは、先天的な腎臓の疾患を持つ場合もあり、早期の発見は重要な意味を持つと言えます。
8歳までの子にお勧めの検診
対象:3歳~8歳ぐらいまでの猫
この年齢は、人間に照らし合わせるとおおむね40代~50代です。この時期の疾患は、代謝異常など、生活習慣で起こる病気が多く起こります。肝機能、腎機能、心機能、泌尿器機能などを検査によって観察することで、病気になる前にそれを防ぐ事が可能になります。
勿論、ならないことが大切ですが、8歳くらいから様々な病気のリスクが増加してきます。例えば胆嚢炎や膵炎などの疾患は、近年増加傾向にあり、血液検査や超音波検査を行う事で早期の発見が可能です。実際にはその兆候は3、4歳で出ている事が多いのです。早くから知っていれば、病気にならずにすみます。
この検診を受診すると良い理由
生活習慣やホルモンバランスなど、代謝異常の傾向が見つかることが多くなります。将来的に、病気になりそうな状況が把握できるので、その後の生活で修正し、または治療することで、将来の重病を防ぐ事ができます。
検査項目
全身の身体検査、血液検査、内分泌検査、尿検査、便検査、レントゲン検査、超音波検査、心臓エコー検査、CT検査(頭部およびデンタル)、血圧、体脂肪率など
この検査でわかること
全身の身体検査
頭の先から尻尾の先まで、これまでに生活していて起こった変化を見つけます。歯の異常、皮膚のしこり、毛並み、乳腺のしこり、睾丸の異常、腹部臓器の変形などを見つけます。また、聴診により心臓の異常や呼吸器の異常もここで検出します。
血液検査
糖尿病、高脂血症、貧血、肝機能、腎機能、その他の異常で病気の状況を見つけ出します。
内分泌検査
甲状腺機能亢進症が猫ではよく観察され、多くは中年期に発症します。
尿検査
腎機能や膀胱の異常を見つけます。
便検査
寄生虫や特殊な細菌などを検出します。
レントゲン検査
猫では、心筋症という心臓の病気があります。胸部のレントゲン検査で見つける事ができます。また、腎臓の大きさ、肝臓の大きさなどを見る事ができます。
超音波検査
腹部臓器をさらに詳しく、形態的に異常がないかを見る事ができます。特に猫では、腎臓の大きさや形は重要です。同時に腹腔内腫瘍の発見や、それに伴うリンパ節の腫脹や炎症等を見つけることができます。
心臓エコー検査
心臓の機能を測定することができます。猫に多い心筋症の確定診断と病状を判断するには必須の検査です。
CT検査
レントゲン検査の3次元検査ですので、通常のレントゲン検査より詳しく見る事ができます。例えば、鼻腔の中、歯の根っこの状態、胸部の異常、腹腔の異常や脂肪の状態など詳しく観察できます。レントゲン検査で異常が見つかった部位の精査にも使用できます。
血圧
高血圧などを検出できます。人間で起こる動脈硬化による血圧上昇は通常はみられませんが、頻度多く測ることで、心臓に異常のある猫、腎臓に異常のある猫は効果的です。
体脂肪率
定期検診で毎回測定しておくと、変化に気付きやすく生活習慣などを変えることで将来の病気を予防できます。
飼い主様へのメッセージ
高齢の猫では、腎不全はとても多い疾患であり、8歳ころからその徴候(水を沢山飲む、尿が多くなる、尿の色が薄くなり、臭いが少なくなるなど)が現れることがあります。腎不全は、早期の発見により、腎臓をサポートした食事への変更などにより、腎機能の保護を行う事が可能です。また、高齢の猫に多い病気として、甲状腺機能亢進症というホルモン疾患や糖尿病などの生活習慣病も挙げられます。これらの疾患も検診を行う事で発見が可能です。
8歳以上の子にお勧めの定期検診
対象:8歳以上の猫(8歳までの検査に癌検診をプラスしたものです)
8歳を超えると猫はとても腫瘍の発生率が高くなります。そのため通常の検査に加えて、腫瘍をしっかりと見つけるための検査を行います。猫でも多くの腫瘍は8歳くらいから発生率が高くなってきます。猫で多い腫瘍は、リンパ腫、扁平上皮癌、乳腺腫瘍、腸腺癌などがあり、全身をくまなく検査することで発見が可能です。また、近年では、動物でも癌マーカーによるスクリーニグ検査が可能となっており、一般身体検査、レントゲン検査、超音波検査と合わせて、病気の早期発見に一役を買っています。
この検診を受診すると良い理由
生活習慣で起こる病気を早期に発見する事や、8歳から腫瘍発生率が高くなるので、いわゆるガン検診の役割を果たす。
検査項目
全身の身体検査、細胞診及び病理検査、血液検査、内分泌検査、尿検査、便検査、レントゲン検査、超音波検査、心臓エコー検査、CT検査(頭部およびデンタル)、腫瘍マーカー、血圧、体脂肪率など。
この検査でわかること
全身の身体検査
頭の先から尻尾の先まで、これまでに生活していて起こった変化を見つけます。8歳までの検診に加え、口の中の腫瘍から、尾の先までの腫瘍などを検出して、細胞検査なども同時に行います。
血液検査
糖尿病、高脂血症、貧血、肝機能、腎機能の異常と、その他色々な病気の状況を見つけ出します。
細胞診及び病理検査
身体検査で見つかったしこりなどは、その場で針を刺して細胞を検査して、必要であれば病理検査を行い、腫瘍の種類を特定します。
内分泌検査
甲状腺機能亢進症は猫では多く観察され、多くは中年期に発症します。
尿検査
腎機能や膀胱の異常を見つけます。尿の潜血等があれば、細胞の検査を行います。
便検査
寄生虫や特殊な細菌などを検出します。
レントゲン検査
心不全の検出は勿論ですが、この年齢からは、胸部は3方向のレントゲン写真を撮ることで、より腫瘍の検出率が上がります。
超音波検査
腹部臓器をさらに詳しく、形態的に異常がないかを見る事ができます。肝臓の大きさや形、腎臓の大きさや形等です。勿論腫瘍自体の発見や、それに伴うリンパ節の腫脹や炎症等を見つけることができます。
心臓エコー検査
心筋症の診断や心臓周りの腫瘍、特に猫に多い胸腺の腫瘍の診断や細胞診に役立ちます。
CT検査
レントゲン検査の3次元検査ですので、通常のレントゲン検査より詳しく見る事ができます。CT検査により、鼻腔内の病変や、腫瘍の肺への微小転移などの評価を行う事が可能です。特に、鼻腔内の疾患はレントゲン検査では、細かい評価が不可能であり、発見が遅くなってしまうことがあります。鼻腔内病変の症状は歯槽膿漏からくるのか、腫瘍性疾患からくるのかが判別しにくいものでしたが、CT検査により、より早期の発見・治療が可能となりました。
血圧
高血圧などを検出できます。人間で起こる動脈硬化による血圧上昇は通常はみられませんが、頻度多く測ることで、心臓に異常のある猫、腎臓に異常のある猫は効果的です。
体脂肪率
定期検診で毎回測定しておくと、変化に気付きやすく生活習慣などを変えることで将来の病気を予防できます。
飼い主様へのメッセージ
この時期の検査は、主に癌の検出が大きな目的です。同時に、この年齢までの生活習慣や代謝異常で起こっている疾患を見つけ出します。まずは、検査を受けて、何もないことを確認することが大切です。ここで異常が見つかった場合は、早期に治療に取りかかることで、より低侵襲の治療ができます。
関連コラム
猫の尿について
猫は腎臓病にかかることが少なくありません。これは猫は大昔は砂漠で生活をしていたことにより、水をあまり必要としない体質が備わったまま家猫として過ごすようになったからだと考えられています。