胆嚢の病気の治療症例紹介
CASE 1 胆嚢粘液嚢腫
柴犬 5歳 オス
症状
元気、食欲がなく来院されました。来院前日に嘔吐、その後吐きはしないものの、吐き気を繰り返している様子があったようです。
検査
血液検査
異常所見として、白血球、CRP(炎症マーカー)、肝数値(GPT、ALP)、総ビリルビン値の上昇、膵特異的リパーゼ(スナップ検査)の陽性所見が認められました。
腹部超音波検査
胆嚢摘出術
胆嚢は超音波検査の所見通り重度に腫脹が認められ、硬結感がありました。胆嚢を肝臓から剥離し、胆嚢を切開して胆嚢内容物を除去したのち、胆嚢管(胆嚢と肝臓をつなぐ管)を糸で結紮し、胆嚢を摘出しました。術後順調に回復し、術後5日目で退院しました。約1ヶ月後の血液検査では、白血球、CRP、肝数値の改善が認められました。
CASE 2 胆嚢粘液嚢腫、胆嚢破裂
ミニチュアダックスフンド 13歳 避妊メス
症状
1日前から食欲がなくお水も飲まない、ぐったりしているとのことで来院されました。
検査
血液検査
肝臓の数値(ALP、GPT、GOT、γ-GGT)、炎症マーカー(CRP)の上昇が認められました。また、総ビリルビンの値が高値で、黄疸が認められました。
腹部超音波検査
胆嚢内は粘液嚢腫を疑う所見が認められます。少量の腹水貯留も認められました。胆嚢構造の連続性が失われているため、胆嚢破裂が疑われました。
腹水を採取し、検査を行ったところ、黄疸の指標である総ビリルビンの値は高値を示していたため、腹水は胆汁であり、破裂により胆汁が腹腔内に漏れ出し、腹膜炎が起きていることが考えられました。状態は悪く緊急性が高いと判断し、緊急手術を行うこととなりました。
胆嚢摘出術
胆嚢を肝臓から少しずつ剥離していきました。超音波検査の所見通り、胆嚢はすでに破裂しており、腹腔内に胆汁が漏れ出していたので、漏れ出た胆汁を吸い出しました。胆嚢内に残った胆汁も取り出し、胆管の結紮を行い、胆嚢切除を行いました。本来胆汁は液体ですが、胆嚢内の胆汁は下図のようにゼリー状でした。
手術後、元気、食欲は徐々に改善していき、術後4日目で退院しました。肝臓の数値は術後約1か月後から少しずつ低下していきました。
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