Fujii Times(ブログ)
2017年09月18日
総務スタッフです。先日の研修報告でも記載しましたが、当院の三國先生が平成29年度獣医学術関東・東京合同地区学会にて学会発表をしました。
「卵巣摘出術から14年後に子宮蓄膿症を発症した犬の1例」というテーマでの発表でした。
みなさんご存知かと思いますが、学会発表というのは当然のことながら未発表の「オリジナル」な内容でないといけません。今回、三國先生が発表した内容も、もちろんオリジナルで当院でも1954年に開業以来、60年以上の歴史の中で初めての症例からの研究発表でした。
発表の概要は
・犬の子宮蓄膿症は中高齢の未避妊の犬に比較的よく認められる疾患
・これはホルモン依存性の疾患であり、避妊手術によりその発生を予防することが可能。
・適切な卵巣摘出術が実施されれば術後に子宮内膜炎や子宮蓄膿症を発症する根拠はない。
・これまで報告されている避妊手術後の子宮蓄膿症は、異所性卵巣や手術失宜による卵巣の取り残しが原因
・本症例は幼犬時の避妊手術後から発情兆候は一切認められず、術中の腹腔鏡内観察でも、異所性卵巣や卵巣の取り残しは認められなかったが、高齢になってから子宮蓄膿症を発症
・高齢である場合、もしくは免疫が低下するような基礎疾患が存在する場合には、卵巣摘出後、卵巣遺残がなくても子宮蓄膿症を発症する可能性がある点に留意
・ただし、卵巣摘出術後に子宮蓄膿症を発症するケースはごく稀であり、藤井動物病院においても約60年間あまりの歲月でこの1件のみ
・今回の症例によって避妊手術の術式を子宮卵巣全摘出術に変えることを推奨するものではない
というものです。
先生の研究発表をみて、動物の高齢化というのは、今までにない病気の可能性もあり、やはり、知識や技術のアップデートというのは常に必要なものだと感じた次第です。
こういった研究や発表を今後も続け、日頃の診療に生かしていきたいと思います。