早期発見のためにできること
自宅でできること
- 日常のケア(歯磨き/耳掃除/ブラッシング/グルーミング)をこまめにする
- 観察を良くする(食欲/排尿/排便/行動の異常/体重)
病院でしておきたいこと(検査)
身体検査(触診/視診)
身体検査は非常に重要です。
獣医師による身体検査は、自宅で気づかない異常を発見できることがあります。
健康だと思っていても、健診の際に身体検査で異常が発見されることも多くあります。
(身体検査での発見)筋肉量の減少/しこりの発見/腹腔内のしこりの発見など
身体検査に加えて、健診として推奨される検査
- 血液検査
- 尿検査
- 画像診断(レントゲン/超音波)
全身の状態をチェック
動物の全身状態を診察します。できものがいつ頃からあるのか、動物が患部を気にしているかなど、身体一般検査をします。症状によっては、血液検査、尿検査、レントゲン検査、エコー検査などの基本検査を、異常を発見した時には、より深く腫瘍の位置の特定や種類の特定のためにCT検査、内視鏡検査、病理生検検査などの特殊検査も加えることが勧められます。
検査方法 | 内容 |
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血液検査※ | 内部の異常を知るための基本的検査 |
尿検査※ | 腎臓、膀胱は勿論のこと、肝臓や全身の状態を知る。 |
画像診断(レントゲン/超音波)※ 内視鏡検査※※ CT検査※※ |
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※ワクチンなどの予防の際に一緒に受けることができます
※※麻酔下での検査が必要
当院では身体検査で異常がなくても、年齢や性別から特に自宅で注意すべきことを指導しています。
画像診断は高齢になってきた際、定期的に実施することが好ましいです。
できもの(腫瘍)の検査
腫瘍の種類によって、その後の挙動や治療が異なってきます。腫瘍の種類を知ることは重要です。この検査では、大きさや数、色、形、周囲組織との癒着の有無など、できものの基本的な部分を調べます。その後、細胞もしくは組織の検査に移ります。
針生検FNA
できものの検査の中では、最も簡易な検査です。
できものに細い針または特殊な針を刺し、形成している細胞の形態を調べます。これにより、異形細胞(がんを疑う細胞)の有無を検出します。特徴的な腫瘍細胞や、典型的な炎症細胞であればその場で診断をつけることができますが、場合により病理診断医に提出します。
細胞の由来や系統、悪性度の診断をします。針生検は細胞の採取にとどまりますので、細胞診断結果によっては組織生検が必要です。また、腫瘍組織が脂肪細胞に囲まれている場合もあります。細胞診断で「脂肪」とでても、その後の増大傾向や変化によっては、組織診断を行います。
病理診断医により、細胞の由来や系統、悪性度の診断まで判断できることもありますが、この検査は少数の細胞による初期診断であるため、確定診断(腫瘍の種類や悪性度)を得るには、組織生検が必要になります。
※表面に潰瘍がある場合は、スライドガラスを直接あてて表面の細胞を採取することもある(スタンプ生検)が、スタンプ生検では腫瘍本体が採取されることは少ない。
組織生検
局所麻酔または全身麻酔下で腫瘍全体あるいは腫瘍の一部を切除し、病理診断医に組織検査をしてもらいます。針生検よりも豊富な細胞を採取し、周囲の組織との関連まで検査できるため、腫瘍の確定診断(腫瘍の種類や悪性の判断)を得る際に実施されます。
腫瘍全体を切除した場合には、腫瘍組織を完全に切除できているかどうかの判定も可能であり、完全切除できれば、診断を兼ねた治療ともなり得ます。また、腫瘍周囲のリンパ管内や血管内に腫瘍細胞が出現しているのかも知ることができるため、その後の転移の可能性も知ることができます。
内視鏡検査
全身麻酔下で消化管内、特に口腔、咽喉頭、食道、胃、小腸、大腸まで観察および組織生検ができます。消化管内に存在するしこりには大変大きな武器になります。
CT検査
全身麻酔下で実施します。胸腔内、腹腔内に存在する異常の検出も勿論のこと、特にレントゲンでわかりにくい骨のわずかな異常や鼻腔内の異常の検出には欠かせない検査です。
造影検査を加えることで、腫瘍がどの程度周囲の臓器に浸潤しているかも調べることができます。手術の計画を立てる際、あるいは転移の有無を調べるには大きな武器となる検査です。
診察例の紹介
目に見える、触れる部位のしこりを見つけた場合
状況 | 診察例 |
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内部の腫瘍発見の場合
状況 | 診察例 |
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健康診断で血液検査 |
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定期的な尿検査 |
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症状から腫瘍発見の場合
状況 | 診察例 |
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鼻汁が多く、治療をしてもなかなか治らない |
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歩く様がおかしい |
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