研修・学会・論文関係
2025年02月17日
海外研修に行ってきました。
獣医師の宮本です。
1/27〜2/9の2週間、ハワイのKing Street Pet Hospitalに実習に行ってまいりました。
今回の実習を通して学んだことや感じたことをご報告します。
今回お世話になったKing St Pet Hospitalでは5人の獣医師と約15人のアシスタント(動物看護師と獣医アシスタント)、マネージャー、受付の方々で診療をしています。
今回の研修を通して特に驚いた点や参考になると感じた点は以下です。
・看護師さんならびにアシスタントのお仕事
今回お世話になった病院では獣医師と看護師がチームになり働いています。(獣医師1人にアシスタント2人)まず、看護師・アシスタントの方が患者さんをロビーに出迎えに行き、診察室で一通りの問診や必要事項の確認、健診やフィラリアの検査が必要な場合には採血までおこなってから獣医師が診察に入るというスタイルでした。この問診や獣医師への報告を見学させていただきましたが非常に端的かつわかりやすく、また、とてもフレンドリーに飼い主さんや動物たちに接している様子が印象的でした。日本でも愛玩動物看護師は国家資格になったので徐々に看護師さんの活躍の幅を広がってくると、診察や処置がさらにスムーズになるだけではなく獣医師と看護師の連携もより取れるようになり、患者さんと看護師さんの間にもより強い信頼関係ができてくるのではないかと思いました。
・各先生の手術日が固定されている
これはメリット、デメリットありそうですが各先生の手術日が曜日で固定されています。これにより各獣医師は自分の予約や手術のコントロールがしやすく、また他の先生のオペの予定に左右されにくいためその場で患者さんと相談して予定を組むことが容易になると思いました。
・専門性に特化している
抗がん剤治療は腫瘍科専門医、画像診断(CTやMRI、一部のレントゲン検査、超音波検査など)は放射線・画像診断専門医、心臓にまつわる検査や処方は循環器専門医が行うなど専門性に特化している傾向にあるようです。しかし、一般病院にはそのような専門医がいないケースが多いため、二次診療施設に紹介をしたり、月に数回病院に来る専門医に診てもらったりするようです。専門性に特化することにより、獣医師の技術や知識レベルの差によって診断結果が変わることを防ぐことができるだけではなく、獣医師・看護師にとっても安全な検査・治療を行うことができることはメリットだと思いました。しかし、すぐに検査ができない場合も多く、さらに専門医診療では検査費用が非常に高額になり検査を受けることを諦める飼い主さんも多くいるとのことでした。
・歯科処置に対する意識の高さ
飼い主さんたちにも口腔内環境を清潔に保つことの重要性が浸透しており軽度な歯周病のうちに治療をするべきであるという考え方がしっかり広まっているという印象を受けました。抜歯するほど悪くなる前に治療をすることで健康な歯を維持し、また悪くなりそうな箇所を早期に発見することができ、かつ麻酔リスクが低い状態での処置が可能という点が素晴らしいと感じました。日本では重度な歯周病症例を治療することが多く、ほとんどの歯を抜かなければいけないケースにも遭遇するので、徐々に歯周病治療に対しての意識が高まるよう動物病院側もその重要性をよく説明していくことが重要だと感じました。
そのほかにも、モロカイ島という隣島に往診に行く先生に同行し、辺境とも言える環境での獣医療を見学させていただいたり、二次診療・救急センターの見学、King Street Pet Hospitalも元院長Dr. Fujieにハワイを案内していただいたりと多くの貴重な体験をさせていただきました。個人的には大好きなハワイで2週間も過ごすことができたことも非常に幸せなことでした。
同じ病院にずっといると気がつくことができないことに気が付いたり、日本での診療に生かすことができそうな考えが浮かんだりと非常に良い刺激をいただけたため今後もより良い獣医療を提供できるよう努力していきたいと思います。(ハワイでの写真を当院のインスタグラムでたくさん紹介しています。ぜひご覧いただけると嬉しいです。)
Instagram:https://www.instagram.com/p/DF1J3NWSW0q/?img_index=1