研修・学会・論文関係
2014年10月24日
今回10月15日~18日まで、カリフォルニア州のサンディエゴで行なわれたアメリカ最大の外科のミーティングに参加してきました。日本からも多くの先生が参加されていましたが、私は横浜と埼玉の先生と3人である程度一緒の行動をする事にしました。
今回大きな収穫は、犬の膝の十字靱帯断裂の手術方法で最新の方法を3方法学んで来た事、さらに新たな手術方法を自身でも開発する糸口が見つかったことです。そしてもう一つ大きな収穫として、私はいつも、新しい試みを行なっている動物病院の見学をしてくるのですが、今回はサンディエゴにある、In to The Sun Setと言う病院を訪ねて、コンセプトなどを院長とスタッフと話しをしてきたことでしょうか?日本ではまだ考えられないコンセプトでしたが、これも私の病院の信念に共通するものがあり、是非とも将来的に実践していきたいと思います。
順を負って今回の旅について書いていこうと思います。
10月14日
成田空港からロスアンジェルスに飛びました。現地に到着し、直ぐにレンタカーを借りて、さらに約3時間程度、南に向かいメキシコの国境近くにあるアメリカのサンディエゴに到着しました。到着後、早速、学会登録を行ない翌日の実習に備えます。実習は小型犬のTPLOの手術をメインに行ないましたが、大腿骨と頸骨の変形の矯正の手術を実習で行ないました。大腿骨と頸骨の変形は膝の関節の悪い子に多いため、習得するにはとても大切だといえます。話は少し遡って今年2014年の9月の話になりますが、日本の関東の学会で、橈骨(前足の手首)の骨の変形の矯正手術方法を、3Dプリンターを応用して手術を行ない、当院の症例が学会長賞を受賞しました。今回の実習は其処までの最先端ではありませんが、手術中に一緒に出来る方法としてとても大切ですので、受けることにしました。
10月15日
AM8:00実習開始です。まずは講義から、そして自習、そしてソウボーンと言う模型で実習です。これを何度も繰り返し行います。何度も何度も違う講義と実習を繰り返すのです。
最終的には、遺体を利用して実習が始まります。提供されたご遺体に感謝して、皆真剣に取り組みます。
この実習でえた事は今後の手術にかなりの影響を与えるものと思います。横浜から一緒に来た先生と供にチームを組んで、かなりの症例をこなして行くことを約束しました。そしてPM6:00実習修了です。休みを抜いても8時間以上の長い一日でした。
10月16日
今回は、当院でも頻繁に行なっている犬の前十字靱帯断裂の手術でTTA-2と言う手術の最新型の手術方法の説明会です。和やかな2時間程度のミーティングでしたが、かなり多くの知識を得ることができました。今後の手術方法に影響を与える事は間違いありません。
http://www.kyon.ch/current-products/tibial-tuberosity-advancement-tta/tta-2-development-technique
10月17日
この日はサンディエゴ郊外にある、In to The Sunsetと言う名前の病院に行ってきました。この病院は、動物のホスピスです。日本では、まだまだ、ホスピス専用の病院はありませんが、当院でも麻薬を利用して、在宅でのホスピス生活をおくることをコンセプトにしていますので、この病院のコンセプトはとても参考になりました。そして大きな違いも感じました。文化の違いなのか宗教の違いなのか分かりませんが、とても刺激的だったと思います。癌と動物を戦わせる事も大事だとはお思いますが、緩和療法をする事で、動物の苦痛を取り除き、そしてしっかりと死を見送ってあげる姿勢はとても感動しました。そして何がこんなに偶然という事があるのかと思う出来事がありました。ここのドクターは外科の専門医で、私が1990年まで留学をしていたペンシルバニア大学の獣医学部のレジデントをしていた先生の弟さんでした。彼は夏休みにペンシルバニア大学の獣医学部を見学に来て、私は、彼を大学病院まで車で送ってあげたことがあったのです。あまりの偶然に驚きでした。人の縁というのは不思議なものです。
10月18日
Ortho Medと言う会社で出しているやはり小型犬用の十字靱帯断裂手術の器械の購入と専属の専門医との講習をマンツーマンで受けていました。これもとてもためになりました。何せ実際に200例以上やった人が「こうしたら失敗した」と言う様な話を細かく説明してくれて、それによりさらに実践的な手術方法を実習することができました。本当に感謝です。アメリカに行く前から、この実習をしてくれる様にお願いして、やっとの思いで叶いましたが、こんなに独り占めした実習は他では経験できませんね。http://www.orthomed.co.uk/pdf-downloads.html
この様にして充実した4日間を過ごしてきました。今回、少し病院を不在にした時間は長かったですが、今後も、あらゆる方法をとって情報の吸収と、新たなコンセプトを常に学んできます。毎年海外には数回行くことがありますが、その時その時興味のある事を徹底的に学び、当院の症例や将来に役立てていきます。勿論見学や、実習を受けても現実的でないものもありますが、それも経験の一つとなり、学会発表や論文になるのです。今回も新たな課題を餅ながら旅を終えました。今後に期待して下さい。