レッグ・カルべ・ペルテス病
(大腿骨頭無菌性壊死病)

レッグ・カルべ・ペルテス病の解説

レッグ・カルベ・ペルテス病は若齢期の小型犬に生じる疾患で、股関節を形成する大腿骨の骨頭部分が壊死してしまう病気です。この疾患は4~12ヵ月齢の成長期に発症することが多いです。特に6〜7ヶ月齢に多くみられ、両方の足に発症することもあります。成長期の疾患であるため、治療は迅速に行う必要があり、早期回復はどれだけ早く治療に取りかかることができたかどうかに依存します。

発病する理由

骨盤と大腿骨で股関節を形成しているうち、大腿骨頭と呼ばれる部分に栄養を供給している血管が減少し、血液供給が途絶えその結果、大腿骨頭が虚血し壊死が生じることが原因です。人や動物は成長とともに骨が伸び、体格が大きくなっていきます。動物の成長は人の成長速度よりも早く、あっという間に成犬になります。

レッグ・カルベ・ペルテス病は、この成長速度に栄養供給が間に合わず、生じてしまう骨の疾患の代表例となります。血流阻害の原因については現段階では詳細なメカニズムは不明ですが、ホルモンの影響、遺伝的因子、解剖学的形態などが可能性として考えられています。骨の壊死は大腿骨頭の内側から生じる為、大腿骨頭の構造が脆くなり二次性に骨折を起こし、激しい疼痛を生じます。人では発生率に男女差がみられますが犬では一部の犬種をのぞき発生に雌雄差は認められません。

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図1 大腿骨頭周囲の血管構造
骨頭部分の血管供給が、骨幹部分の血管供給よりも少ないことがみてわかります。

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図2 血流障害等の原因により大腿骨頭が壊死した図

症状

レッグ・カルベ・ペルテス病では股関節を伸ばした時に激しい痛みが出ることが特徴です。また、大腿骨頭の壊死が進むと頻繁に壊死部分で微細な骨折が起きるため、疼痛によって犬は罹患した足を全く使用しなくなり筋肉量が減少し、後ろ足が細くなります。また犬を後ろ足だけで二本にして立たせた場合、股関節に大きな力が加わるため、レッグ・カルベ・ペルテス病に罹患している側の足をあげようとします。

診断方法

触診やX線画像撮影、CT画像検査が用いられます。
股関節のX線撮影では、大腿骨頭の変形や骨折の確認、骨密度の低下等の所見から、疾患中期以降の犬ではレッグ・カルベ・ペルテス病の診断を下す事が可能です。しかし、疾患の初期段階では画像検査に明らかな所見が出ることは少なく、CT検査を行って初めて診断が可能になる事もあります。

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図3 レッグ・カルベ・ペルテス病のX線画像
右後肢は正常であり、左後肢はレッグペルテスの発症が疑われる

治療法

一度壊死をしてしまった大腿骨頭は再生せず、元の形に戻ることはありません。この状態が続くと股関節にとってどんどん悪い環境が生まれるため、壊死している大腿骨頭を外科的に切除する大腿骨頭切除関節形成術が適応となります。レッグ・カルベ・ペルテス病では股関節に負重することを嫌がり後ろ足を使用しないため、正常な足と比較して明らかな筋肉量の低下が認められます。筋肉量が極限まで落ちた状態で適切な治療をしても、筋肉量を取り戻すことに長期間かかってしまいます。後ろ足に異常を感じたら様子を見ずになるべく早めの受診を心がけましょう。

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図4 大腿骨頭切除関節形成術の術後X線写真
左後肢に対する大腿骨頭切除関節形成術を行なってもその他の構造体が股関節を支えるため、歩様にはほとんど影響はありません。

飼い主様へのメッセージ

             

この病気は若い小型犬に多い疾患です。最初は鎮痛剤に反応しますがそのうち徐々に悪くなり、筋肉も痩せてきます。初期治療で治らない時は早めの診断が必要です。必要に応じて、CT検査などが必要なこともあります。

飼い主様へのメッセージ

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