歯科&口腔外科の治療症例紹介
CASE 1 破折歯(歯が折れてしまった)の抜歯
ポメラニアン 5歳 オス
症状
健診で来院された際に左上顎第4前臼歯が折れており、歯髄の露出がありました。歯が割れたり、欠けてしまっていても歯髄に損傷がなければ特に問題にならない事が多いですが歯髄が出てしまっている場合は、痛みや出血を伴うだけではなく、歯髄が露出した部分から感染が起こり歯髄炎(歯髄の壊死や歯根の感染、炎症)を起こし歯瘻(歯肉や皮膚に瘻管という穴があき膿が出てくる状態)となることがある。周囲の歯に感染や炎症が広がる可能性もあるので抜歯が適用と判断しました。
検査
目視による、歯髄の露出の確認。
手術(抜歯+歯石除去)
麻酔下にて歯髄の露出が認められた左上顎第4前臼歯の抜歯を行いました。抜糸した箇所は歯肉を吸収性の糸で縫合しました。この症例は比較的若齢だったため全体的に歯石沈着は軽度で歯周炎は認められませんでしたが、歯石の付着が見られた歯は超音波スケーラーによる歯石除去を行い2種類の研磨剤を用いて歯の表面を滑らかに磨く処置も行いました。今回抜歯をした左上顎第4前臼歯だけはなく右上顎第4前臼歯も先端が折れていましたが、この歯は歯髄が見えていなかったので抜歯はせず処置を終了としました。
CASE 2 口腔鼻腔瘻
ミニチュアダックスフンド 11歳 オス
症状
くしゃみ、口臭、歯石沈着があるとのことでご来院されました。診察にて重度の歯石沈着、歯周炎、歯が揺れている所見を認めたため鼻の内部や歯根の状態を確認するためCT検査で術前の評価をした上で、歯石除去・抜歯の手術を行うことになりました。
検査
CT検査
麻酔をかけ、CTを撮影し鼻腔内、歯根の状態の確認を行いました。左右上顎の犬歯と右上顎の第4前臼歯は、歯根の炎症が周囲の顎骨や口腔と鼻腔を隔てる骨に及んでおり口腔と鼻腔が繋がってしまう口腔鼻腔瘻といわれる状態になっていました。症状としてはくしゃみや鼻水、鼻血、鼻から膿が出てくるなどがあります。奥歯の歯周炎の進行では頬や目の下の皮膚が腫れたり穴が開いてしまう状態になってしまうこともあります(外歯瘻)。
手術(歯石除去+抜歯)
口腔鼻腔瘻の状態が認められた歯や、重度の歯周病の進行により歯根が浮いて歯がぐらぐらしている部分、噛み合わせに重要な歯に悪影響を及ぼす可能性のある歯周病の歯は抜歯が適用になります。重度の歯周病により揺れている歯は簡単に抜けてしまうことも多いですがドリルで歯根や周りの顎骨を削って抜歯をする場合もあります。抜歯した箇所は吸収性の糸で縫合していますが、膿が出る部分や歯肉を寄せて縫合するのが困難な場所に関しては穴が開いたままにすることもあります。また、抜歯をしなくて済んだ歯については歯周ポケットの中まで超音波スケーラーによりしっかりと歯石や汚れを落としてから研磨剤で歯の表面を磨く処置をします。この症例では術後にくしゃみや口臭がかなり軽減したとのことです。
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