腎臓腫瘍(腎芽腫)の治療症例紹介

CASE 1 腎臓腫瘍(腎芽腫)

ペキニーズ 8か月 メス

症状

他院より腹水貯留のセカンドオピニオンでご来院されました。
来院時、元気や食欲、活動性は問題ありませんでしたが、触診にて左側上腹に硬い腫瘤が触知されました。

僅か数か月齢程の若齢でも大きな腫瘤ができることがありますので、触診上で疑わしい所見がある場合はまず超音波検査やレントゲン検査での画像診断を行う必要があります。

検査

腹部超音波検査

イメージ

左の腎臓に10㎝以上の腫瘤が認められました。また、わずかに腹水の貯留も認められました。

胸部レントゲン検査

心臓のサイズや形態に問題はなく、肺野にも異常所見は認められませんでした。

血液検査

異常所見として、CRP(炎症マーカー)の数値上昇が認められました。

左腎腫瘤切除(左腎臓摘出)手術

超音波検査から、左腎臓の腫瘤の鑑別として腎芽腫やリンパ腫などの腫瘍が疑われました。腫瘍の確定診断を行うためには病変を摘出して病理検査を行う必要があります。今回の腫瘤は大きく、腎臓を切り離すことは不可能であったため、左腎臓と腫瘤を一緒に摘出しました。
毛刈りを行うと肉眼でもはっきり腫瘤部分がわかりました。(写真①)
腹部正中から開腹し、左腎臓腫瘤を確認しました。(写真②)
腫瘤の一部に腎臓が確認され、腎臓から発生していることが推測されました。(写真③)
腫瘤には子宮や卵巣、腸間膜などが強く癒着していたため、止血を行いながら丁寧に剥離をして腫瘤と腎臓を一緒に摘出しました。
摘出した腫瘤のサイズは12cmに及びました。(写真④)

写真①:毛刈り後、下腹部左側に腫瘤による隆起が認められました。

イメージ

写真②:正中で開腹すると直下に腫瘤が認められました。

イメージ

写真③:腫瘤の一部に腎臓の構造が認められ、左腎臓から発生していると考えられました。

イメージ

写真④:摘出した腫瘤と左腎臓。

イメージ
イメージ

術後の経過は良好で、翌日に退院されました。
病理組織診断で今回の腫瘤は腎芽腫であると診断されました。
腎芽腫は発生率が低く、先天性の構造から発生するため若い年齢での発生が多い悪性腫瘍です。また、転移を起こしやすく、効果的な抗がん剤治療は確立されていません。当院では、これまでに発表された論文や治療報告などをもとに抗がん剤治療プロトコールを検討し、実施しました。現在では全プロトコールが終了し、元気に生活しています。また、定期的な健診でレントゲン検査、超音波検査での転移チェックを行っており、現在も転移所見はみられていません。

お問い合わせ先

藤井動物病院(日曜日休診)

  • お問い合わせ電話番号:045-401-0229
  • ご予約専用電話番号:045-439-3677