回盲部腫瘤

回盲部腫瘤

⽝ 雑種 13歳 去勢オス

症状

嘔吐や⾷欲不振などの臨床症状は認めず。
他院にて実施した健康診断にて回盲部の腫瘤病変が発⾒された。
細胞診の検査では紡錘形細胞の集簇と急性化膿性炎症の所⾒が認められた。

検査

レントゲン検査

明らかな転移所⾒は認めず

超⾳波検査

回盲部に直径4cmほどの消化管腫瘤を認めた。
⼀部に嚢胞状の所⾒を認める。
病変は限局しており、そのほかの部位への転移所⾒などは画像上認めず

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⼿術

⿇酔下にて腹部正中切開により開腹を⾏った。
病変部は4cmほどの⼤きさで盲腸部位に限局しており、回腸から結腸部位の腸管閉塞は認めなかった。周囲は⼤網と呼ばれる消化管の膜が癒着しており、過去に炎症が起こったと思われた。まず、⼤網の癒着を剥がし、病変部周囲の⾎管⾛⾏を確認した後、消化管の切除範囲を決定し、その部位に⾎液を供給している⾎管を遮断。

腫瘤は⾁眼的には盲腸部に限局はしていたが、組織レベルでは周囲に浸潤している可能性もあるため、結腸の⼀部と回腸の⼀部を含めるように切除範囲を設定し切除を実施。

切除後は、吸収性の縫合⽷にて回腸と結腸を吻合。

吻合後は吻合部からの内容物の漏れや内容物の通過に問題がないかを⽣理⾷塩⽔を注⼊して確認を⾏った。最後に腸間膜を縫合し、消化管の吻合部には⼤網を縫い付け終了とした。腹壁、⽪下、⽪内ともに吸収性縫合⽷にて縫合を⾏い閉腹した。

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回盲部の腫瘤

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回腸と結腸を吻合しているところ

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吻合後

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摘出した腫瘤病変

術後

24時間後より給餌を開始し、⾷欲も⼗分に認められた。
⼊院中は、抗⽣物質、鎮痛剤、点滴治療を実施し術後4⽇⽬に退院とした。

病理診断

消化管間質腫瘍(GIST)の診断
脈管浸潤は認めず、切除辺縁にも腫瘍細胞はなく、切除しきれているという評価
完全切除されており、転移像を認めないことから術後は定期的な転移評価を⾏いながら経過観察とした。今後再発した際には分⼦標的薬の使⽤を検討している。

お問い合わせ先

藤井動物病院(日曜日休診)

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