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2024年05月30日

猫の歯の健康について

猫の歯の健康について

 

1.全身の健康への影響

口腔内ケアは、猫の全体的な健康維持にとって非常に重要です。適切な口腔ケアを怠ると、歯周病などの重大な健康問題が発生しやすくなります。歯周病は痛みを伴うだけでなく、進行すると全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。口腔内の細菌が血流に乗って他の臓器に影響を与えるためです。特に腎臓病や心臓病との関連が指摘されています。

 

研究の裏付け

複数の研究によれば、口腔内の慢性感染症が全身の炎症反応を引き起こし、腎臓病や心臓病のリスクを高めることが確認されています。また、ある研究では、歯周病を持つ猫は持たない猫に比べて腎臓病のリスクが3倍高いと報告されています。

 

  1. 歯磨きの重要性と方法

 

歯磨きの重要性

猫の歯をブラッシングすることは、口腔ケアの基本です。適切な歯磨きを行うことで、プラーク(歯の表面に形成される細菌の膜)と歯石(硬くなったプラーク)の形成を防ぎ、歯周病を予防することができます。歯周病は非常に痛みを伴い、進行すると治療が難しくなるため、日常的な予防が重要です。歯周病を予防することで、猫の寿命が延びる可能性もあります。ある研究では、適切な口腔ケアを受けている犬や猫は、平均して2〜4年長生きすることが示されています。

 

歯磨きの方法

道具の準備: 猫用の小さくて柔らかい歯ブラシと、猫が好きなフレーバーの猫用歯磨き粉(例:鶏肉、牛肉、シーフード)を用意します。人間用の歯磨き粉は猫には有害なので使用しないでください。

慣れさせる: まずは猫を歯ブラシや歯磨き粉に慣れさせることから始めます。少量の歯磨き粉を指に付けて猫の歯茎に触れさせ、少しずつ歯ブラシを使うようにします。最初は歯ブラシに歯磨き粉を付けて、猫に舐めさせることから始めましょう。

実際のブラッシング: 猫が歯ブラシに慣れたら、いよいよ歯をブラッシングします。ブラシを歯茎のラインに対して45度の角度で当て、優しく前後に動かします。最初は数秒ずつ、徐々に時間を延ばしていきます。最終的には、1回のセッションで全ての歯をブラッシングすることを目指します。

 

3.口臭の原因と対策

 

口臭の原因

猫の口臭の主な原因は、歯の表面に細菌がたまり、プラークが形成されることです。このプラークが硬化して歯石になると、歯茎や口内の他の組織に炎症を引き起こし、口臭が発生します。また、歯周病や口内炎も口臭の原因となります。その他の原因には、腎臓病、糖尿病、口腔がんなどがあります。

 

口臭の対策

毎日の歯磨き: プラークの形成を防ぐために、毎日の歯磨きが推奨されます。歯磨きが難しい場合は、少なくとも週に2〜3回はブラッシングを行います。

デンタルチュー: 歯磨きが難しい場合は、デンタルチューや歯磨き効果のあるおもちゃを使用することで、歯の健康をサポートします。

フードや水の添加物: プラークの形成を抑える効果のあるフードや水の添加物を使用することも有効です。

 

  1. 口腔内疾患の概要

 

歯肉炎

歯肉炎は、歯茎の炎症であり、初期段階では治療が可能です。プラークが歯茎を刺激し、炎症を引き起こします。治療しないままでいると、歯周病に進行します。

 

歯周病

歯周病は、プラークが硬化して歯石となり、歯茎や歯の支持組織に深刻な損傷を与える疾患です。症状には、口臭、歯茎の出血、歯のぐらつきなどがあります。進行すると、歯の喪失や全身的な健康問題を引き起こします。研究によれば、4歳以上の猫の50〜90%が何らかの歯の病気にかかっているとされています。

 

口内炎

口内炎は、口の中の組織が炎症を起こす状態です。猫の重度の口内炎(FCGS)は非常に痛みを伴い、猫の生活の質を著しく低下させます。治療には麻酔下での歯科処置と、抗生物質、鎮痛剤、抗炎症薬の使用が含まれます。

 

  1. 歯周病の詳細

 

歯周病の進行段階

歯周病は以下の4段階に分類されます:

 1.歯肉炎: 歯茎の炎症のみで、骨には影響がありません。

 2.早期歯周炎: 歯と歯茎をつなぐ靭帯の25%までの損失。

 3.中等度歯周炎: 靭帯の25%〜50%の損失。

 4.進行した歯周炎: 50%以上の靭帯の損失と骨の破壊。

 

歯周病の治療

治療は病気の進行度によりますが、一般的には歯石の除去と感染した歯の抜歯が含まれます。歯のクリーニングは全身麻酔下で行われ、歯石を超音波スケーラーで除去します。定期的な歯科検診とクリーニングが推奨されます。

 

  1. 全身疾患との関連

 

腎臓病との関連

歯周病は、腎臓病との関連が指摘されています。口腔内の慢性的な炎症が腎臓に負担をかけ、慢性腎臓病(CKD)のリスクを高めることが研究で示されています。ある研究では、歯周病を持つ猫は持たない猫に比べて腎臓病のリスクが3倍高いと報告されています。

 

猫エイズ(FIV)との関連

猫エイズウイルス(FIV)感染症も歯周病のリスクを高めます。FIVは免疫システムを弱体化させ、口腔内の感染症や炎症を引き起こしやすくします。このため、FIV感染猫は特に口腔ケアが重要です。FIV感染猫の約30%が重度の歯周病を発症すると報告されています。

 

  1. 予防策

 

日常的なケア

  1. 毎日の歯磨き: プラークの形成を防ぐために、毎日の歯磨きが理想です。柔らかい歯ブラシと猫用歯磨き粉を使用し、歯茎のラインを中心にブラッシングします。
  2. デンタルチューとおもちゃ: 歯磨きが難しい場合は、デンタルチューや歯磨き効果のあるおもちゃを使用して、歯の健康をサポートします。

 

動物病院での定期検診

定期的に獣医で歯科検診を受けることも重要です。獣医は歯肉炎や歯周病の初期兆候を早期に発見し、適切な治療を行います。年に一度の歯科クリーニングも推奨されます。

 

まとめ

口腔内ケアは猫の全体的な健康維持に不可欠です。毎日の歯磨き、デンタルチューの使用、定期的な獣医での歯科検診を組み合わせることで、歯周病などの口腔内疾患を予防し、猫の健康を保つことができます。飼い主として、猫の口腔ケアをしっかりと行い、猫が健康で快適な生活を送れるようにしましょう。