Fujii Times(ブログ)

2017年04月01日

フィラリア症の予防シーズンです

総務スタッフです。

犬のフィラリア症の予防シーズンが来ました。当院では春の健診期間中です。全身の血液健診とフィラリアの抗原検査をセット価格で行うことができます。さらに推奨予防期間分のフィラリアやノミ・ダニ駆虫薬をまとめてご購入頂いた方には特典もあります。

ご存知のようにフィラリア症は、蚊を介して犬の心臓や肺動脈に寄生する寄生虫が起こす病気です。犬フィラリアは成虫になると30cm にもなる糸状の寄生虫です。寄生することで血液の循環が悪くなり、様々な障害が表れます。放置すれば死に至ることもあります。

実はフィラリア症は猫にも感染します。犬と比べると感染は稀ですが、発症すると嘔吐や咳、呼吸困難などを経て死亡してしまう事もあります。猫にはノミダニ予防と一緒にスポットタイプで予防できる薬があります。獣医師にご相談ください。

ところでフィラリア症はいつ頃から増えてきたのでしょうか?

当院の30年誌(1954年創業 1984年発行)によれば、昭和30年代半ばに日本の経済成長を反映して飼犬の頭数も増え、それに比例するように、フィラリア症も増えてきたと書かれています。また、当時の治療は非常に神経を使うものだったようです。

そのような中、前院長の藤井勇は昭和37年(1962年)7月には、「犬糸状虫(フィラリア)の心臓手術による治療法」を第7回麻布獣医学会で発表。臨床医として開胸手術でフィラリアを摘出することに成功しました。その臨床、発表のインパクトは強く、国立の研究所出身者や他の臨床医の先生方からも藤井動物病院の研修医になりたいという希望が殺到したようです。

その後も「犬の心臓糸状虫による後大静脈狭窄の症例について(昭和42年)」、「犬糸状虫による後大静脈栓塞の診断法について(昭和43年)」、「犬糸状虫による後大静脈栓塞の手術法について(昭和44年)」、「犬糸状虫に対するトリメラルサンの応用(昭和44年)」「犬糸状虫前眼房に迷入した二症例について(昭和45年)」、「犬糸状虫の後大静脈塞栓症ならびに右心房寄生虫の左側頸静脈よりの吊り出し手術法について(昭和47年)」「犬糸状虫の後大静脈塞栓症の外科手術法について(第183回日本獣医学会/昭和47年8月 日本臨床獣医学会賞受賞)」と、1960年代-70年代初頭にかけてフィラリアに関しての臨床、研究、発表を継続してきました。

そして1980年代になって月に1回の投薬で良いイベルメクチンという薬が出てからフィラリア症の予防が徹底しました。このイベルメクチンは2015年に大村智氏のノーベル賞の受賞によって日本中に知れ渡りましたが、この薬の発見は人間同様、犬の世界でも死亡症例をかなり出さずに済み、寿命が飛躍的に伸びました。

当院はその薬が出る前、今から50年近くも前よりフィラリアの臨床、研究を重ねて参りました。フィラリア予防においてもその創業以来のDNAを引き継ぎ、さらに進化を重ねております。しっかりと予防して参りましょう。