Fujii Times(ブログ)

2015年06月14日

アメリカ内科学会の参加と猫専門病院への訪問

今回のアメリカの内科学会はインディアナ州のインディアナポリスで行われました。この学会は15年以上前から不定期ではあるものの参加してきました。私がペンシルバニア大学に留学時代に内科を主に3年間勉強していたため、沢山の内科専門医と交流があるからです。また日本で行われるセミナーの多くは、この学会などで発表されたことを、日本の先生が日本人に訳して教えていることが多いからです。大本の話を聞くことで、本当の背景がわかり疑問点も質問することで解決してくれます。日本では質問しても、そのデータを出した先生ではないので、曖昧な答えしか返ってきません。いうなれば聞いた話だからです。

写真に写っているのは、Klag先生です。フィラデルフィアで内科の専門医として活躍している先生ですが、彼とはもう25年の付き合いになります。彼らに会うことで、アメリカの内科分野のトレンドを聞くことが出来ます。もちろん自分の嗜好にあった科目にはなってしまいますが、流れをつかむにも、出るセミナーを限定するにも助けになってもらえます。

我々が動物病院の業務として、外科を重視している様にみなさん考える方が多いと思います。「どこどこ施設は手術ができる」とか「ある手術はこの病院が良い」などです。しかしよく考えてください。外科は治療の一つに過ぎないのです。内科を私が、学生時代から、そして留学時代のほとんどを費やした理由は、診断を正確に下す技術を身に付ける事だからです。診断を正確につけないと、手術が出来ても、外科まで至りません。ですので内科ができる事がとても大切なのです。留学時代に内科専門医が「外科は体力勝負、内科は頭脳勝負」と言っていましたが、外科をやる時にはすでに正確な診断が内科医によって下されているからです。

診断を正確に行う、SOAPの様な考え方の技術は一度つけると衰えませんが、知識は年々進歩しますので、アップデートが必要です。そのため今回は5年ぶりの内科学会でした。

頻度多く外科学会に参加する理由は、外科の新しい技術が出てくるからです。外科の場合は技術がアップデートされますので、頻度多く参加を余儀なくされます。

今回の内科学会も沢山のトピックがありますが、腫瘍、神経、循環、呼吸器、消化器などいろいろ聞きましたが、若い先生はどうしても腫瘍に多くの先生がいくようです。腫瘍の方はやはりまだ治る治療は出てきていません。ですので、私は、呼吸器や診断技術の進歩の分野を学びました。

当院にもCTがありますが「レントゲン検査ではわかりづらいものがCTだとどう診断できるか」というトピック、「咳で困っている動物をどのような方法で抑えることが出来るか?」2015年バージョンの知識を学んできました。

また今回は猫専門の動物病院にも行ってきました。

アメリカは今から30年前から猫専門の病院が多数あります。日本でも最近話題になってはいますが、猫専門というだけで、技術的に優れているわけではありません。アメリカでは既に、猫しかやらない整形外科の専門医、内科医という具合に専門医が猫を限定するようになってきています。

そのため内部事情は同じように見えても日本とは雲泥の差があります。簡単にいうと日本はまだ猫だけを見る病院が出来たというだけで、技術のある先生が猫専門になっているという事ではないということです。今後こういう形も出てくると思いますので、現時点でのアメリカの専門病院を評判の良いところを見ることが出来ました。当院も猫の診察室と待合室がありますが、猫を連れてくるための準備など、猫にとって優しい病院づくりを考える機会が持てました。

10月には猫専門の学会がサンディエゴであります。既に参加を申し込みました。次回は、今回の訪問で得たことをさらに深めて参りたいと思います。

2015 Conference Educational Program[10月に参加する猫専門の学会](英文)

AAFPについて The American Association of Feline Practitioners (AAFP) (英文)