Fujii Times(ブログ)

2018年01月13日

愛犬が「僧帽弁閉鎖不全症」と診断されたら読む本

総務スタッフです。今朝はとても冷え込みましたね。愛犬・愛猫にとっても気をつけないといけない季節ですね。そして、飼い主の皆様もご健康に留意いただきたいです。2018年に入り、インフルエンザも猛威をふるっています。くれぐれもご自愛ください。

さて、先日、藤井院長のTweetで下記のような内容の投稿がありました。

 

「僧帽弁閉鎖不全症」

耳にしたことがある方もいらっしゃるかと思います。藤井院長が奨めていることもあり、私も早速、本を購入し、読んでみました。

著者の上地正実先生は、ハーバード大学医学部付属の霊長類研究所に留学、世界トップレベルの医学研究が行われている中で、動物の循環器について深く学び、帰国後は心臓手術に携わり経験を重ねられてきました。現在は、日本どうぶつ先進医療研究所株式会社、JASMINE動物循環器病センターの所長で、月に10-12件の「僧帽弁閉鎖不全症」の手術を行っています。上地先生のことは、藤井院長も良く存じ上げていて、世界的に有名な犬の心臓外科の先生です。

この本は、タイトルのとおり、飼い主さんに向けて書かれた本で、「僧帽弁閉鎖不全症」について、大変、わかりやすく書かれています。詳細は著書を手にとってご確認いただきたいですが、本章前の「はじめに」を少し触れさせていただくと、

・犬の死因は、1位がん、2位が心臓病。
・心臓病の中でもっとも発症率の高い病気が「僧帽弁閉鎖不全症」
・この病気は、心臓の中にある弁がもろくなり、血液循環が悪くなることで心臓が弱ってしまう病気
・小型犬の発症率が高い
・治療方法は投薬と手術があるが、投薬はあくまでも病気の進行を抑え、症状を緩和するだけ
・投薬治療だけでは(完治しない)。9カ月後の生存率はたったの50%
・(完治のためには)根本的な治療は外科的手術しかない
・しかし残念なことにほとんどの獣医師がこの病気に対する手術を行っていない
・(外科手術をしない)結果として肺水腫を繰り返し、呼吸困難を経験=愛犬が苦しむ結果になる

と書かれています。

その「はじめに」を受けて、本章では、「僧帽弁閉鎖不全症とは何か」や「診断されたときにとるべき行動」、「完治のための手術(手術方法。手術の流れなど)」、「術前・術後の準備」、「病院選びと手術のタイミング」などが詳細に書かれています。飼い主さんができるチェック方法、適切な検査方法も明確に書かれていて、理解しやすいです。

私が読んで、特に印象に残ったのは、この「僧帽弁閉鎖不全症」は人間では手術が当たり前の治療方法だということです。その治療が犬ではなぜ難しく、行われてきてなかったのかも理解できます。また上地先生の病院では「僧帽弁閉鎖不全症」の手術が、術後生存率99%、術後約6年の生存率が9割で手術による完治の可能性が高く、逆に投薬だけの治療、9ヵ月後の生存率50%とは明らかな違いが明確です。

何よりも僧帽弁閉鎖不全症が進行すると肺水腫を繰り返し、その肺水腫で愛犬が苦しむ姿は、巻末の飼い主インタビューからも想像を絶するものだと読み取れます。愛犬が苦しまないためにも完治に向けた早期の手術はその後のQOLを考える上でも大切なことだと感じました。

また、本書には「僧帽弁閉鎖不全症」だけでなく、その他の心臓病である、肺動脈狭窄症や動脈管開存症、心筋症、心室中隔欠損症、不整脈、フィラリア症についても「どんな病気か」「症状」「治療方法」も整理されていて、心臓病全般についても理解が深まります。また心臓が悪いとなぜ、腎臓が悪くなるのか、その密接な関係もわかります。歯周病が原因で心臓病にかかる可能性など日頃のケアが大切なこともわかります。

総じて、本書では「僧帽弁閉鎖不全症」の理解が深まるのは言うまでもなく、心臓病や他の病気についても考えることができました。ありがとうございました。