藤井動物病院

藤井動物病院 公式ブログ

胆嚢の病気(胆嚢炎、胆嚢粘液嚢腫、胆石症)

今回は、藤井院長に胆嚢の病気について詳しく話を訊きました。本文を読んで気になる症状がある場合、獣医師に相談してください。

中年から高年期の犬を飼っているかたは、動物病院で高脂血症もしくは肝臓や胆嚢が悪いと言われたことがありませんか?一度でも言われたなら、ホルモン検査や超音波検査を受けていただき、「なぜ、そしてどのくらい悪いのか?」その理由や原因をつきとめて、改善できるもの、もしくは治療可能なものなら、早めに治療をすることをお勧めします。

状況が進んでいない場合は、人間の生活習慣病の様な形で食事や運動の生活習慣を改善することで治る場合もありますので、しっかりとした診断が大切です。

診断で重要なのは腹部の超音波検査です。再診の超音波は画像がかなり良くなり、初期の粘液嚢腫をしっかりと診断ができます。今回は胆泥症(たんでいしょう)、胆石症(たんせきしょう)、胆嚢炎(たんのうえん)、胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)、について説明をします。

これらは徐々に進むとかそういったものではなく、簡単に言うと胆泥症を放っておくと胆石ができるとか、胆嚢炎を起こす子は胆嚢粘液嚢腫になるということではないです。しかしながら、因果関係がはっきりしないから安心というわけでないので、疑わしいと言われたら、定期検診をしっかりと行って治療をしていくことはとても大切です。

まず胆泥症ですが、これはほぼ無症状のことが多く、病気と判断するよりは胆嚢の動きが悪くなり少し胆汁の循環が悪化している状況ともいえるでしょう。胆汁の循環を良くする薬や、流れをスムーズにするような薬で改善することがあります。内科療法と食事管理などで、消えてしまう子も多いですが、消えずに変わらない子は経過観察が必要です。

胆石症も無症状でレントゲンや腹部超音波で見つかることもあります。しかしながら胆石症は、胆嚢から総胆管という腸につながる太いパイプに引っかかってしまうと重篤な症状を現します。当然のことながら強い痛みと、胆汁が流れないことで起こる黄疸が起こります。

症状としては食欲不振、嘔吐、沈鬱、脱水そして粘膜の黄疸がみられます。こういった症状が出たら、胆石が流れるか?胆嚢破裂しているか?など細かい検査をして、必要に応じて手術をします。多くの症例で、胆嚢破裂をしてから病院で胆石を発見することが多いです。飼主さんがあらかじめ胆石症を知っていれば、それほど慌てずの緊急手術にはならなかったという症例が多いです。

胆嚢炎は文字通りに胆嚢に炎症が起こります。細菌感染などが原因のことも多いですので、急激に症状が出ます。嘔吐、下痢、食欲廃絶、沈鬱さらには黄疸が出るとさらに症状は悪化します。超音波検査では、胆嚢壁の浮腫や炎症がみられます。同時に胆嚢壁が破裂していないかも診る必要があります。胆嚢破裂が無い場合は、内科治療で治療することが多いです。内科治療で効果がみられれば、そのまま継続をして治癒させますが、効果がない時には外科的処置として胆嚢切除も考慮しておかなければいけません。かなり症状が強く出る子は、判断が遅いと救命率が下がることもあります。

胆嚢粘液嚢腫は胆嚢内にムチンを含有する胆汁が蓄積し、その結果として胆汁のうっ滞を引き起こします。現在までのところ犬における胆嚢粘液嚢腫の病因は不明で、体質、遺伝、食生活など含めた複数の原因が関係している可能性が高いと思われます。

今のところ胆嚢の動き、胆汁の流れ、さらには組成の変化が関係していると思われます。この病気は、私がアメリカで研修をしていた1990年初頭では、米国では何度か症例を経験しましたが、当時日本では診たことがありませんでした。その後少しして胆嚢粘液嚢腫が多くなってきたと思います。ドックフードの変化に伴う食生活の変化が原因ではと一時期言われていたこともありました。

粘液嚢腫と診断がつきましたら、外科的に胆嚢を切除することが長生きをさせられます。ある報告では手術した症例の犬の生存中央期間は約5年ですが、内科療法で手術をしないと3年半程度と寿命が大きく変わってきます。そのため粘液嚢腫は年齢が15歳以上の高齢でなければ、手術をする方が長生きできます。

胆嚢の疾患は、しっかりとした診断と適切な処置をしないと、命に係わる病気です。多くの子がこの病気を抱えていますが、「様子を見ましょう。」という獣医師の言葉に楽観的に考えてしまいがちな病です。

それは無症状の子が多いからです。もし獣医師に様子を見ましょうと言われても3ヶ月に1回は超音波検査を受け、悪い方向への変化の場合は適切な処置をしましょう。

現在では麻酔や手術器具の進歩から、破裂などをした緊急の胆嚢切除でなければ、それほどの時間もかからずに、2,3日の入院で退院できる子が多いですから、病態の悪さを早期に発見して、早期に治療をすることが大切です。

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