藤井動物病院

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猫の尿について

猫は大昔砂漠で生活をしていたことにより、水をあまり必要としない体質が備わったと言われています。通常の水分摂取は小動物を捕らえて、その獲物の体液からの水分がメインで、それだけでも十分に生活できるような機能を身に付けているということです。そしてその少ない水分を効率よく使い、凝縮した尿を出す仕組みができています。しかし人間に飼育され家猫として過ごすようになると、この機能は少し不都合が生じてきます。

そもそも水を飲むという習慣があまりない猫の主食が、ドライフードに変わることで脱水が起きやすくなり、その脱水から尿がさらに濃くなり、尿中に結晶(結石)が析出して、尿の砂粒症や結石症になってしまいます。さらに雄猫は尿道が細いため、結晶や尿石が尿道に詰まって、排尿ができなくなり、致死的となることがあります。

下部尿路疾患(FLUTD)はそういった体質からきている病気で、比較的若い猫に多発する病気です。こういった泌尿器疾患が増え、さらに色々な疾患に罹患して脱水することからますます腎臓に負担をかけてしまい、慢性腎臓病を起こしやすくなると言えます。

では現代の家庭で、猫が水を摂取しやすくするにはどうしたら良いでしょうか?猫が飲用に置いた水に足を入れてしまうことはありませんか?それは、置いてある水を猫が視覚で認識できにくいためです。そのかわり猫は聴覚が鋭く、水の音のする流れる水を飲む猫も多いです。例えば蛇口から直接飲んだり、お風呂場の水などもよく飲みます。流れる水を演出する水の器もありますが、これも効果的です。また冬場は冷たい水より体温に近い水の方が飲みやすいので、温めた水を飲ませるのも大切です。食べ物に水を混ぜる、もしくは水分量の多いウェットフードを与えるのも良い方法です。最後に水飲み場所ですが、お手洗いのそばは避けて、2~3か所で飲めるようにしてあげてください。

病院の定期検診で尿検査をすることはとても大切です。自然に排尿した尿は検査には向かないことがあるので、病院で膀胱に直接針を刺して尿を採取してもらう方が正確な診断ができます。そして脱水状態を見るには尿の濃さを調べることが大切です。尿の濃さは尿比重(SG)でみます。また猫に多いストラバイト結石を作るのは尿PHでアルカリ性になっている、さらに顕微鏡下で結晶があるなど検査します。慢性腎臓病の診断にも尿検査は必須です。とても大切な検査ですので、若くても病院で半年に1度ぐらいは尿検査を受けましょう。

猫の結石用の処方食も効果がありますが、慢性腎臓病などの病気になると尿が薄くなるので、尿結晶や結石を作らなくなります。下部尿路疾患(FLUTD)用の処方食を食べさせている猫も、慢性腎臓病になってしまったら、処方食は慢性腎臓病用に変えなくてはいけません。飼い主さんの中には尿が出ているから安心だと思われている方が多いですが、尿が薄くなると腎不全を疑わないといけません。猫に多い慢性腎臓病についてもいずれ書きます。

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