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2025年06月11日
猫は体調の変化を隠す傾向があり、外から見てわかる異常が出る頃には、病気が進行していることも少なくありません。特に腎臓・心臓・甲状腺などは、初期には無症状で進行するため、定期的な検査で“見えない不調”を早めに見つけることが大切です。
当院では6〜8月の期間、猫の血液健診と泌尿器健診をおすすめしています。年齢に関係なく、以下の項目を基本の健診内容としてご案内しております。
■健診で行う主な項目
● 身体検査(歯科・肥満チェックを含む)
猫の歯周病や口内炎は食欲低下や全身の健康にも影響します。また、肥満は糖尿病や関節疾患、膀胱炎などのリスクを高めるため、定期的な体重と体型の評価が重要です。
● 血液検査(一般項目+年齢・リスクに応じた追加項目)
・ 一般項目(全血球計算、肝臓・腎臓・電解質など):年齢にかかわらず、全身状態を把握する基本検査です。
・甲状腺ホルモン(T4)/ SDMA(早期腎マーカー):高齢猫(8歳以上)で多く見られる甲状腺機能亢進症や腎不全の早期発見に役立ちます。
・心臓マーカー(NT-proBNP):心筋症は無症状で進行することが多く、特にリスクの高い品種では若齢のうちに一度評価しておくことが推奨されます。
心疾患は進行するまで症状が出にくいため、見た目が元気なときこそ積極的な評価が重要です。
■泌尿器の健診内容
猫は年齢を問わず、泌尿器のトラブルが多い動物です。特に次のような病気に注意が必要です。
・若齢猫では、先天性の腎形成異常、下部尿路疾患(FLUTD)、尿路結石など
・中高齢(8歳以上)では、慢性腎臓病や腎機能の低下
尿路結石などは、尿管が詰まるなど深刻な症状になるまで発見が難しいこともあり、検査を受けていなければ見逃されやすい病気です。
検査項目は以下のとおりです:
・尿検査(比重・pH・タンパク・潜血・結晶など)
・腹部レントゲン検査(結石の有無など)
・腎臓〜膀胱までの超音波検査(構造異常や腫れなど)
中でも尿検査は短時間で簡単に行えるため、最低限この検査だけでも受けておくことをおすすめします。
■健康なうちからの健診を
健診の目的は、病気を見つけることだけではなく、「何も異常がないこと」を確認し、今後の変化に備えることにもあります。6〜8月の健診期間を活用して、猫ちゃんの健康状態を今一度チェックしてみませんか。お気軽にご相談ください。