NEWS
2025年06月07日
気温や湿度が上昇してきて、わんちゃんの耳の不調を訴えてご来院される患者様も増えてきました。
わんちゃんの外耳炎は、かゆみやにおい、赤みなど不快な症状が多く、慢性化しやすい病気です。特に垂れ耳の犬種やアレルギー体質の子は、何度もくり返してしまう耳の炎症に悩まされがちです。
実はこの外耳炎、時間が経つほど治療が難しくなることをご存知でしょうか?
外耳炎が慢性化すると…
– 耳道が腫れて薬
が届かなくなる
– 炎症のくり返しで耳道が変形・石灰化
– 効果のある薬が減っていく(耐性菌の出現)
– 痛み・不快感・においが日常化
– 最終的には耳道をすべて切除する大きな手術が必要になることも…
だからこそ、「まだ症状が軽いうちに」対応するのが理想です
当院では、すでに重症化してしまった場合はもちろんですが、アレルギー皮膚炎などにより将来確実に悪化すると考えられる症例に対しては、将来の耳の健康を守るために、早期手術(外側耳道切除術)を積極的にご提案しています。重症化してより大掛かりな垂直耳道切除や全耳道切除などが必要な状態に至る前に実施することが大切です。外側耳道切除術は他の手術に対して手術侵襲も少なく、外観的な変化もほとんど気にならない手術です。
外側耳道切除術とは?
垂直耳道(耳の入口部分)を切除して通気性を改善し、炎症の悪化を予防し、ケアのしやすい耳に整える手術です。
実際の症例紹介
術前の状態:
根底にアレルギー性皮膚炎
があり、外耳炎による通院、点耳薬の使用を欠かすことがでいない状態が続いていました。慢性経過により耳道が腫れて狭くなり、薬は使用していてもコントロールが難しい状態となってきました。症例は4歳と若い子でしたが、将来を見据えて早期に手術を実施することをご選択されました。
術後の状態(外側耳道切除術後):
手術によって耳の奥が開放されました。空気が通ることで炎症の再発が防がれ、点耳や洗浄もスムーズに行えるようになります。外側耳道切除は外観への影響はほとんどなく、術後の生活にも支障はありません。この症例は毎年月春から秋には頻繁な通院を余儀なくされていましたが、術後にはほぼご自宅の管理のみで過ごすことができてます。
早期手術のメリット
– 通気性の改善:蒸れを防ぎ細菌や酵母菌の増殖を抑えられます
– 治療効果の向上:点耳薬や洗浄が奥まで届くようになります
– 慢性炎症の抑制:痛み・かゆみから早く解放されます
– QOLの維持:元気や食欲が戻り、生活の質が向上します
– 美容的配慮:見た目が大きく変わらないため安心です
このような症状がある場合は、ご相談ください
– 年に何度も外耳炎をくり返している
– 耳が赤い、におう、かくしぐさが多い
– 点耳や洗浄で改善しづらくなってきた
– 鼓膜が見えない、耳道が狭いと診断された
– コッカーやブルドッグなど耳のトラブルが多い犬種
最後に
慢性化してからではなく、早期の段階での判断が、わんちゃんの将来の快適な生活を守るカギです。耳の状態をCTやオトスコープで正確に評価し、最善のタイミングでの治療をご提案いたします。
わんちゃんの耳の健康が気になる方は、どうぞお気軽にご相談くださ