藤井動物病院

診察・検査・治療

診察

診察は、問診・触診・聴診までの一般身体検査の過程を指します。この診察の過程で問題を絞り込み、問診・触診・聴診の結果からどのような病気が考えられるかを判断し、どんな検査をしたら、実際の病気にたどりつけるかを考えます。

問診

飼い主さんの情報(主訴)を的確に訊き出していくと同時に、それがどんなことを意味しているのかを訊き出していきます。動物の異常な行動が何を意味しているのかを理解することが重要となってきます。

触診・聴診

問診で訊いた問題点を「13ヶ所200項目以上」のチェックポイントを触診と聴診で細かく調べて、その結果からどのような病気が考えられるかを判断し、どんな検査をしたら実際の病気にたどりつけるかを考えます。

なぜ「触診」が重要なのか?

動物は人間のように直接、言葉で症状を訴えることはできません。調子の悪い動物自身がその症状を訴えられないゆえに、その症状と飼い主さんの情報が一致しない時が多く見受けられます。

例えば(雄猫)
飼い主さんの情報 「便が出ない」ということで来院
診察結果 「尿が出ていない」→尿道閉塞の可能性(緊急事態)

飼い主さんは雄猫のお手洗いで踏ん張っている姿を見て「便がでない」と判断し、当院にお越しになられました。でも診察の結果は、便ではなく尿が出ていなかったのです。これは、お腹まわりを触診することで、診断ができます。なぜならお腹を触れば、便の量や硬さ、尿もどのくらいあるかということがわかるからです。

便がでない場合は、翌日来院でも大丈夫なことが多いですが、尿が出ていないとなると尿道閉塞の可能性があり、命に関わります。当日、一刻も早く来院してもらわないといけません。このようにただ便が出ていないと、思っていたことが実は命に関わる重症だったということがあります。

もう一つ例をあげましょう。(犬)
飼い主さんの情報 「朝から数十回も吐き続けている」
診察結果 「気管支炎で咳をしていた」

というケースもあります。この様に飼い主さんにとっては、飼犬が嘔吐の時に出す症状と咳の時に出す症状の区別がつかなかったのです。こういった事が人間とは違うところです。動物は自分の言葉で症状を訴えることができない、それゆえに獣医師は、人間相手の医者以上に問診、触診、聴診が重要になります。問診、触診、聴診で70%以上の症例の診断方向が決まります。

13ヶ所(200項目以上)の身体検査を診察時に常に実施

13ヶ所とは、眼、耳、鼻、咽喉頭、消化器、生殖器、皮膚、リンパ節、可視粘膜、心血管系、呼吸器、筋骨格系そして神経系です。この身体検査を症状にかかわらず、診察時に全て実施することで、飼い主さんが気がつかない本来の病気を探ることが可能です。当院では、まず、この触診を徹底し、的確な診断を施すことが重要だと考えています。

  • 目やにの有無と種類
  • 充血
  • 白内障
  • 角膜潰瘍
  • 結膜炎の有無
  • 乾燥性角結膜炎
  • 色素沈着
  • 血管新生
  • まぶたの腫瘍
  • まぶたの感染
  • 涙やけ
  • 鼻涙管疾患
  • 涙の減少
  • 緑内障
  • 正常眼
  • 正常な涙と正常な水晶体

  • 炎症
  • 外耳炎
  • 耳ダニ
  • 耳垢の状態と量
  • 化膿
  • 潰瘍
  • 過形成
  • 色素沈着
  • 酵母菌感染
  • 細菌感染
  • 耳道狭窄
  • 鼓膜破裂
  • 過剰耳垢
  • 過剰耳毛
  • 腫瘍
  • 薄毛
  • 脂漏症

鼻および咽喉頭

  • 色素異常
  • 鼻の角化亢進
  • 鼻汁
  • 鼻の腫瘍
  • 咽喉頭腫瘍
  • 扁桃腫脹
  • 軟口蓋過長症
  • 逆くしゃみ
  • くしゃみ
  • 鼻出血
  • 鼻孔狭窄

消化器および生殖器

  • 正常脾臓
  • 正常小腸
  • 正常肝臓
  • 正常大腸および便
  • 触診可能な腎臓
  • 正常膀胱
  • 膀胱壁肥厚
  • 膀胱痛
  • 膀胱結石
  • 流涎
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 正常腹部
  • 脾臓腫大
  • 肝臓腫大
  • 消化管内ガス
  • 腹部痛
  • 腹部緊張
  • 前腹部痛
  • 中腹部痛
  • 後腹部痛
  • 小腸壁肥厚
  • 腹腔内腫瘤
  • 腸管膜リンパ節腫脹
  • 肛門緊張低下
  • 会陰部炎症
  • 会陰部腫瘤
  • 会陰ヘルニア
  • 肛門腺病変
  • 外陰部皺性皮膚炎
  • おりもの
  • 乳腺腫瘤
  • 泌乳
  • 乳腺腫大
  • 包皮分泌物
  • 前立腺腫大
  • ヘルニアの有無
  • 去勢推奨
  • 避妊推奨
  • 腹部超音波検査推奨
  • 消化管内内視鏡推奨
  • 腹部CT検査推奨

口腔

  • 歯垢・歯石
  • 急性歯肉炎
  • オーバーバイト
  • アンダーバイト
  • 乳歯残存
  • 慢性歯肉炎
  • 重度の歯周炎
  • 歯肉過形成
  • 損傷歯
  • 歯化膿
  • 口腔内腫瘤
  • エプリス
  • 唾液粘液嚢胞
  • 抜歯推奨
  • 歯石処置推奨
  • 歯肉手術推奨
  • レントゲン検査推奨
  • CT検査推奨

皮膚

  • ノミ・ダニ
  • ノミアレルギー
  • 脱毛
  • 薄毛
  • 急性湿疹
  • 裂傷
  • 丘疹
  • 刺傷
  • 膿疱
  • 皮膚生検推奨
  • 皮膚掻破検査推奨
  • 腫瘍摘出推奨
  • タムシ、白癬
  • 疥癬
  • かさぶた・痂皮
  • 脂漏症
  • 光沢のある被毛
  • 腫瘍
  • 潰瘍・びらん
  • アレルギー
  • 細菌性皮膚炎
  • 脆弱毛
  • ニキビダニ
  • 力のない被毛
  • 表皮のちぢれ

リンパ節

  • 下顎リンパ節
  • 浅頚リンパ節
  • 腋窩リンパ節
  • 鼠径リンパ節
  • 膝窩リンパ節
  • 腸管膜リンパ節

可視粘膜

  • 鮮やかなピンク
  • レンガ色
  • 蒼白
  • 黄疸
  • 充血
  • チアノーゼ

心血管系

  • 心雑音 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ
  • 左側-僧帽弁
  • 右側-三尖弁
  • 肺動脈
  • 大動脈
  • 逆流性
  • 駆出性
  • 音楽性
  • 分裂性
  • 漸強性
  • 不整脈
  • 正常調律
  • 拡張早期クリック音
  • ギャロップ調律
  • 脈拍欠如
  • 徐脈
  • 頻脈

呼吸器系

  • 鈍く弱い呼吸
  • コフテスト陽性
  • 呼吸困難
  • 吐く様な呼吸
  • ザーザー音
  • 湿った音
  • 湿性ラ音
  • 正常気管肺胞音
  • 開口呼吸
  • 起坐呼吸
  • パンティング
  • 呼吸促迫
  • ギシギシ音
  • 喘鳴呼吸

筋骨格系

  • 膝蓋骨脱臼
  • 股関節形成不全
  • 仙椎不安定症
  • 頚部を嫌がる
  • 十字靱帯
  • 関節炎
  • 疼痛
  • 腫瘤
  • 筋萎縮
  • 重心の中心位置
  • 関節痛
  • 長骨痛
  • 背骨痛
  • 股関節痛
  • 疼痛なし
  • 正常歩行

神経系

  • 攻撃的
  • 脳神経正常
  • 交差伸展反射
  • おびえ、恐怖
  • 過剰行動
  • 下位運動ニューロン
  • 神経質
  • 神経原性疼痛
  • 正常反射
  • 正常気質
  • 病的反射
  • 皮筋反射
  • 膝蓋腱反射
  • 姿勢反応欠如
  • 三頭筋反射
  • 上位運動ニューロン

一般の身体検査における触診、聴診ではこれだけの項目をチェックします。ただ触っている様にしか見えないかもしれませんが、例えば元気がないと言う理由だけで来院しても理由は様々なので、この触診で何が原因かを選別していきます。

もちろん、「目が悪い」という理由でも、目だけをみるのではなく、全身13項目200ヶ所の触診を行った後、眼の診察に移っていきます。足をひきずる場合も同様です。全身の触診のあとに足の部位の特殊な診察をします。この様にして検査を進めて行くことで、どこにどんな異常があるかを把握し、その異常から考えられる、病気を分類しなければいけません。その分類のために、血液検査やレントゲン検査などがあるわけです。ですからとりあえずの血液検査、レントゲン検査はないのです。触診を実施せず、とりあえずの検査をやると結局結果が出ない、診断が付かないという事がしばしばです。診断をつけるためには、その前のプロセスである触診・聴診が重要だと考えます。