藤井動物病院

藤井動物病院 公式ブログ - 避妊・去勢手術

改めて「避妊・去勢手術の質」を考える。

避妊・去勢手術を受けるワンちゃん(犬)、ネコちゃん(猫)は当院でも増えています。

ご存知のとおり、避妊・去勢手術は、発情時の「ストレスからの開放」「生殖器系の疾患の予防」「望まれない繁殖を防ぐ」などメリットは多くあります。手術ができる動物病院であれば、どの病院でも可能かと思いますが、改めてこの避妊・去勢手術の質を考えたいと思います。

1. 避妊・去勢手術と他の手術との大きな違い。
避妊・去勢手術は健康な犬、猫を手術する。他の手術は病気やケガなど治療のための手術です。健康な状態での手術ゆえに、この手術で健康な状態が損なわれたり、調子が悪くならないよう細心の注意が必要だということです。当たり前のことですが、ここをないがしろにすると、術後に影響がでてきます。

2. 短時間で手術が実施できるための技術。
当院の獣医師は年間多くの避妊・去勢手術をしています。それは手術数だけをこなすのではなく、常に質の向上を考えています。院長の私をはじめ、先輩医師からの技術指導、獣医師同士の情報交換など、避妊・去勢手術のあるべき姿を追い、犬・猫の負担を軽減できるよう、短時間で確実な手術のための技術を習得しています。

3. 避妊・去勢手術での使用する糸へのこだわり。
手術で使用する糸を大まかに分類すると、吸収糸、非吸収糸に分けられます。 吸収糸というのは言葉の通り、時間の経過によって体内に吸収されるものを言います。これは半年ほどで生体に吸収される糸であり、糸に対する生体の反応もほとんど問題にならないため、当院では避妊手術・去勢手術時に血管を結ぶ糸は吸収糸を用いて行っています。吸収糸は非吸収糸に比べて、高価です。ただ、安全・安心医療(※)や犬・猫への負担を考えれば、吸収糸を利用しなくてはいけないと考えています。

※手術用の糸に関連した疾患「縫合糸反応性肉芽腫」(術後異物肉芽腫)
手術に用いた糸に対して身体が反応。特にミニチュア・ダックスフンドに多く報告され、皮膚や皮下組織が赤く腫れてきたり、潰瘍になったり、漿液や膿汁が漏出することがある。非吸収糸である絹糸の利用でこの発生が多く報告されている。

4. 糸を使わないバイクランプ。
吸収糸でも稀に炎症性の反応が残ってしまうことがあります。そこで当院では糸を使う手術法の代替法として、バイクランプという熱性の圧力を行う特殊な器具による手術を行っています。この方法では、糸を使用しないため、縫合糸肉芽腫の発生を防ぐことができ、手術直後も体内に異物が残りません。 術後の炎症反応も糸を使用した手術と比較し軽減されるというデータも出ています。

※バイクランプについては、2010年11月に研究論文として獣医麻酔外科雑誌にて最優秀論文を受賞しています。当院は避妊・去勢手術におけるバイクランプ利用の先駆けとして技術向上に努めています。

これらのように、単に「避妊・去勢手術」といっても、様々なことを考え、実施する必要があります。症例数だけではなく、どういった手術をするのか?その内容の説明を受けて手術することを推奨いたします。