藤井動物病院

藤井動物病院 公式ブログ

アメリカへ留学したわけ(5)

アメリカにいって驚いたことは多くありましたが、その中でも驚いたことの一つが、「臨床」という言葉を初めて理解したということでした。少なくとも日本では、当時こういう光景を見たことがありません。ここで私は、本当の臨床医を実感したのです。

アメリカの獣医大学の学生は、既に4年制の大学を卒業してから入ってきている人が多いので、1年生の平均年齢は26歳ぐらいでした。中には、結婚をしている人や、子供のいる人も、また、授業料も自ら捻出している人が多くいました。それは本当に自分でやりたいことを見つけているために、それに費やす時間と真剣さの度合いが、私たち日本の獣医大学の学生とは全く違って感じられました。

朝6時には入院室に学生がいて、犬たちの横に座り、体温や聴診などして、身体一般検査をしている。それも、鼻の先から尻尾の先まで。始めは凄く驚きました。なぜなら彼らは、犬舎のなか、に入り込み、犬と一緒の位置、地べたに座って、身体一般検査を実施していたからです。まさに床に臨む(のぞむ)。これこそが、臨床という言葉が一番適切かも知れないと感じたくらいです。この姿勢も日本にはないもので衝撃的でした。

犬や猫を自分と同レベルにして、会話をしているように、毎朝6時から学生が診察している。先生が来る8時までが彼らの実力を試すチャンスであり、そこで新に見つけた病変や状態の差を、8時に意見として、担当のドクターに話し、自分の治療方針を話す。この真剣勝負の臨床の学びを目の当たりにして、本当の臨床医になるためには、ここを超えないときっと表面だけの獣医師になってしまう。これをマスターするまでは日本には帰らないと決意した瞬間でもありました。(つづく